『アインシュタイン丸かじり』 志村史夫
歴史に名を残す20世紀の物理学者、アルベルト・アインシュタインと彼の相対性理論について一般読者向けにわかりやすく解説されている、相対性理論の入門書といえる本です。著者である物理学者、志村氏は、アインシュタインの熱狂的ファンを自認しており、この本はアインシュタインや彼の相対性理論を少しでも多くの人に知ってもらうために書いたそうで、本書のいたるところにアインシュタインに対する愛が満ち溢れています。(2007年発行)
■相対性理論って?
アインシュタインの相対性理論には
a)特殊相対性理論
1905年に当時26歳だったアインシュタインが発表。等速直線運動のように加速度の加わらない状態でのみ成り立つ。
b)一般相対性理論
特殊相対性理論には重力のように外部から加速度が加わると成り立たないという欠点があったため、これに重力の概念を取り入れたもの。
の二つがあります。これらの理論が発表されるまでは、時間と空間はすべてのものに共通する絶対的なものだと考えられていました。しかし、この理論では時間や空間は遅れたり縮んだりし、時間と空間に対する概念が一変しました。
■特殊相対性理論ってどんなの?
特殊相対性理論を理解するために必ず抑えていなければならないことは、
光速は、光源や観測者の運動状態に関係なく常に一定である(光速不変の原理)
です。
たとえば、同じ方向に
a)100 km/hで走る車に乗っている人
b)50 km/hで走る車に乗っている人
c)5 km/hで歩いている人
がいたとすると、cからaを見ると95 km/hで移動しているように見えますが、bからaを見ると50 km/hで移動しているように見えます。このように、同じものを観測しても、観測者の運動状態によって速度は違って見えます。
しかし、光速はどのような運動状態の観測者が観測しても300000 km/sです。静止している人から見ても、動いている人から見ても変わりません。マイケルソンとモーレイがこのことを発見したときは、それまでの常識と当てはまらないためにずいぶんと悩んだそうです。アインシュタインはこれに対して、観測結果がそう示しているならそうなんだから光だけは別物と考えればいいじゃないか、としました。このことを抑えておけば、この本の特殊相対性理論の解説を理解しやすくなります。
特殊相対性理論では以下のことが言われています
①時間と空間を独立に扱うことはできない
②動いている物体の長さは運動方向に縮む
移動する物体の長さ(L)、静止している物体の長さ(L0)、移動する物体の速度(v)、光速(c)の関係は、
L=L0√(1-v^2/c^2)
となる。cの値は一定なので、vの値が大きくなるとLの値はL0に比べて小さくなることがわかります。
③動いている時計の時間は遅れる
移動する物体の時間(T)、静止している物体の時間(T0)、移動する物体の速度(v)、光速(c)の関係は、
T=T0√(1-v^2/c^2)
となる。cの値は一定なので、vの値が大きくなるとTの値はT0に比べて小さくなることがわかります。
④宇宙に光速を超えるものはない
仮に速度が光速を超えたとすると、②と③にの式に含まれる√(1-v^2/c^2)のルートの中がマイナスになってしまい、この部分が虚数を含むことなります。虚数を含む長さや、虚数を含む時間は、現実的に成り立たないために光速を超えるものはないということになります。
⑤動いている物体の質量は大きくなる
力(F)、質量(m)、加速度(a)の関係は、
F=ma
となる。質量を持つ物体に力を加えていくと、その物体はどんどん加速していきますが、光速を超えることはできないので、物体の速度が光速に近づくにつれて、加速することが難しくなってきます。その状態で力を加え続けると加速度が増えずに質量が増えていくことになります。
⑥エネルギーと質量は等価である
エネルギー(E)、質量(m)、光速(c)の関係は、
E=mc^2
となる。cの値は一定なので、Eはmに比例します。
■一般相対性理論ってどんなの?
等速直線運動のような特殊な状況でのみ成り立つ特殊相対性理論は、つねに加速度が加わる重力の影響下では成り立たちません。そこでアインシュタインは重力の概念を特殊相対性理論に取り入れた一般相対性理論を構築します。
重力の源は「時空の曲がり」
例えば私たちの生活する時空を柔らかいマットに見立ててみる。マットに重い物を置くと、マットは沈む。この状態でマットの沈み付近にビー玉を置けばビー玉はマットの沈みの中心に向かって転がっていく。このときマットの沈みが時空の曲がり、すなわち重力であり、ビー玉はその重力によってマットの沈みの中心に転がっていく。マットにより重い物を置けばそれだけマットの沈み、重力も大きくなる。
一般相対性理論は重力を時空の歪みとし、「重力場の方程式」と呼ばれる式にまとめられています。
アインシュタインといえば真っ先に思い浮かべるのが相対性理論ですが、実はアインシュタインは相対性理論でノーベル賞を取っていないということにはちょっと驚きました。その理由は二つあり、一つはノーベル賞受賞学者で反ユダヤ主義者のレーナルトがノーベル賞委員会に絶大な影響力をふるってユダヤ人であるアインシュタインを攻撃したこと。これは当時の世界情勢からみるとありえることです。もう一つの理由は、相対性理論が難解すぎて、ノーベル賞選考委員はこの理論が画期的な理論であろうことはわかっても十分に理解できなかったこと。ノーベル賞選考委員すらたじろかせる理論を構築するとは、アインシュタイン凄すぎます。もうノーベル賞の範疇に収まるような人ではないのでしょう。アインシュタインは相対性理論でノーベル賞は取れませんでしたが、光電効果の法則でノーベル賞を受賞します。
著者も明記しているとおり、この本を読めばアインシュタインや彼の相対性理論について少なくともわかったつもりになれます。物理学の常識を覆す理論を僅か26歳で、物理学の世界から遠い特許局の役人の立場で構築したアインシュタイン、本当に凄い人です。アインシュタインってよく聞くけど何をした人?相対性理論ってよく聞くけどどんなんだろう?といった人、お勧めです。
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コメント
tkcさん、こんにちは♪
うっ
また難しい本を読んでる(笑)
難しいことは解りませんがレーナルトって人がやなやつって言うのは解りました。
あとアインシュタインがハンパじゃなく凄い人だってことも(^◇^;
私は正しく
>アインシュタインってよく聞くけど何をした人?相対性理論ってよく聞くけどどんなんだろう?といった人
であります。読んでみようかな~。読みきれるかな~。ちょっと自信がないです( ̄ω ̄;)!!
投稿: あばた | 2008年7月16日 (水) 17時53分
>>あばたさん
子供のころにアインシュタインの写真(あっかんべーしたやつ)を見たときは、へんな爺さんだなと思ってましたが、大人になって彼の理論や業績を知ると、その凄さに圧倒されました。
>読んでみようかな~。読みきれるかな~。ちょっと自信がないです( ̄ω ̄;)!!
この本はくだけた文章で「アインシュタインって凄いんだぞ」、「相対性理論ってこんなんだよ」といったことが書かれていて、とても読みやすいです。ページ数もそれほど多くなく、物理が苦手な人でも大丈夫なように書かれているので、興味があるなら読んでみてください。時間と空間に対する常識がくつがえります
投稿: tkc | 2008年7月17日 (木) 22時06分