『灰羽連盟』 安倍吉俊
外界から隔絶された架空の世界を舞台に、羽と光輪を持ち灰羽と呼ばれる天使のような外見の少女達の死や贖罪、再生を主題にしたテレビアニメです。安倍吉俊氏の同人誌『オールドホームの灰羽達』を元に構成されています。(2002年放送)
■ストーリー
外界から隔絶されたグリと呼ばれる街の郊外の建物。オールドホームと呼ばれるその建物の一室の巨大な繭から一人の少女が生まれる。その少女はオールドホームに住む羽と光輪を持つ灰羽と呼ばれる少女達に迎え入れられる。灰羽は生まれる前に見た夢に因んだ名前がつけられる風習があり、空から落下している夢を見た少女は「落下」と名づけられる。落下は灰羽としての生活に戸惑うが、献身的に面倒をみてくれる「礫」と呼ばれる年長の灰羽のおかげで徐々に生活に慣れていく。しかし、共に暮らす灰羽の一人「空」が巣立ちの時を向かえてグリの町から旅立ったことを切欠に落下に変化が訪れる。
■礫の贖罪と再生
この話は主人公の落下の視点から見た礫の贖罪と再生が主軸になっています。
私は石ころになりたかった
痛みも悲しみも感じないただの石ころに皮肉なものだね
心を閉ざして優しく接すれば
皆、私を良い灰羽だと言う
あたしの心の中は
こんなにも暗く汚れているのに
石ころに因んで名づけられた礫、劇中では明確に語られませんが、灰羽達の台詞や礫の本当の名前から十分に推測できるある理由によって彼女は「罪付き」として生まれ、それが灰羽としての生活に大きく影を落としています。彼女は罪付きとなる原因となった灰羽となる前の行いや、罪付きの灰羽として経験してきたことによって、人を信じたくても裏切られるのが怖くてそれができず、人に助けを求めたくても拒絶されるのが怖くてそれができません。そんな彼女が最後に選んだのは他人に無条件の優しさを与えることで、その優しさはただ自分自身のためのものです。しかし、その偽りの優しさも落下にとっては心の支えになるもので、自分を信頼し、慕ってくれる落下との関係を通して、それは礫自身自覚せずに本当の優しさへと変化し、罪付きである自分自身を救うことにつながっていきます。
キリスト教カトリック教会の教義に煉獄というものがあります。煉獄は死後に救済を約束されているものの、罪の償いが残っている者のためにある場所で、死者はそこで自らの罪の浄化を行います。灰羽連盟の設定や礫を主軸にした話はこの煉獄を思わせます。
■どこか懐かしいグリの街とオールドホーム
映像は全体的に色合いを抑えたセピア調を思わせるような雰囲気で、それがグリの街の石畳の街並みや郊外の牧歌的な風景の中に佇むオールドホームなどの背景や、静かで美しい音楽、しっかりとしたメッセージを含むストーリーとよくまとまっています。
礫の心情には共感するところもあったせいか、自然と話に引き込まれました。死や贖罪など重くて悲しい主題を扱っていて、話の展開もシリアスなものですが悲劇ではありません。観た後に優しい気持ちになれます。
| 固定リンク
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- 『ハクバノ王子サマ』 朔ユキ蔵(2008.09.19)
- 『羊のうた』 冬目景(2008.03.15)
- 『プラネテス』 幸村誠(2008.04.28)
- 『灰羽連盟』 安倍吉俊(2008.05.18)
- 『風の谷のナウシカ』 宮崎駿(2008.07.02)

コメント
こんにちは♪
最近のTVアニメって難しい題材を選ぶのですね。
でもファンタジーっぽいので私の好みかもしれません。
そうそう。「秒速5センチメートル」。この間WOWOWでやってたので録画しました。
近いうちに観ますね。楽しみです(#^.^#)
投稿: あばた | 2008年5月19日 (月) 21時12分
>>あばたさん
このアニメは扱っている題材のせいもあってか、知名度が低いですが、観て後悔はしません。
本当に良いアニメなので、機会があれば観てみてください。
>そうそう。「秒速5センチメートル」。この間WOWO>Wでやってたので録画しました。
>近いうちに観ますね。楽しみです(#^.^#)
おお、「秒速5センチメートル」観るんですか。
ここは是非、女性の感想をお聞かせください
投稿: tkc | 2008年5月20日 (火) 19時40分